One-Shotプロンプティングを使えば、たった1つの例を示すだけで、AIは驚くほど正確に指示を理解してくれます。
本記事では、One-Shotプロンプティングの基本的な考え方と仕組みをわかりやすく解説します。
One-Shot(ワンショット)プロンプトとは?

One-Shotプロンプティングとは、1つの入力例を与えることで、AIにタスクの意図を伝えるプロンプト手法です。
たとえば「このように書いてほしい」という1つの例文を提示することで、AIはその形式や目的を学習し、以降の指示にもそのパターンを応用して応えてくれます。
なぜ「1つの例(One-Shot)」でAIは理解できるのか?
大規模言語モデル(LLM)は、大量のデータからパターンを学習しており、たった1つの例でも文脈や意図を読み取る能力があります。
これは、自然言語の構造と指示の関係を高度に理解しているためで、まるで「人が例を見て理解する」ような応答が可能になるのです。
One-Shotが注目される背景
特にChatGPTなどの高度な生成AIが普及する中で、「少ない労力で最大限の効果を出す」方法として、One-Shotは非常に人気があります。
複数の例を用意するFew-Shotと比べて、準備時間が短く、汎用性が高いため、業務効率化やコンテンツ生成の現場で活用が広がっています。
他のプロンプティング手法との違い(Zero-Shot・Few-Shotとの比較)

One-Shotプロンプティングをより深く理解するためには、他のプロンプティング手法との違いを知ることが欠かせません。
Zero-ShotやFew-Shotとの違いを比較しながら、One-Shotの特長を理解していきましょう。
Zero-Shotプロンプティングとの違い

Zero-Shotプロンプティングでは、例を一切示さずにタスクの指示だけを与えます。
たとえば「以下の文章を要約してください」とだけ伝えるような形です。AIは文脈を想像して応答しますが、複雑な条件や形式を求める場合には意図とズレることが多くなります。
One-Shotでは、1つの例を与えることでそのズレを回避しやすくなります。
Few-Shotプロンプティングとの違い

Few-Shotでは、2つ以上の例を提示してAIの理解を深めます。
複数のパターンを学習させることで、より精度の高い応答が期待できますが、その分プロンプトが長くなり、作成に手間がかかるのがデメリットです。
One-Shotは、精度と手軽さのバランスが良いため、実用性が高い手法として支持されています。
One-Shotの立ち位置とは?
Zero-Shotの簡便さとFew-Shotの精度の中間に位置するのがOne-Shotです。
「なるべく手間をかけず、でもできるだけ意図を正確に伝えたい」そんなニーズに最適なプロンプティング手法といえるでしょう。
AIにとっても、1つの例があるだけで理解が大きく変わるというのは、人間と似た性質でもあります。
One-Shotプロンプティングが効果的なケースとは?

「どんなときにOne-Shotを使えばいいのか?」これは多くの人が抱える疑問です。
すべてのプロンプトに万能というわけではありませんが、特定の条件や目的においては非常に高い効果を発揮します。ここでは、One-Shotが特に有効な場面を具体的に見ていきましょう。
ルールが明確な処理に強い
One-Shotが特に得意とするのは、「ルールベース」のタスクです。
たとえば「敬語からタメ口への変換」や「文章のトーン変更」など、明確な変換規則が存在する作業には、1つの例を与えるだけで、AIがパターンを掴みやすくなります。
少ない例でパターンが安定している
One-Shotは、対象タスクが比較的単純で、表現のバリエーションが少ない場合に適しています。たとえば「英語をカジュアルに直す」「箇条書きに変換する」「分類する」など、入力のバリエーションに対してアウトプットのパターンが安定しているタスクで力を発揮します。
One-Shotプロンプトの具体例3選

「とにかく使ってみたい!」という人に向けて、今すぐ試せる実用的なOne-Shotプロンプトを3つ紹介します。
いずれも日常的なタスクや業務に役立つ内容ばかり。プロンプト文をそのままコピーして、ChatGPTなどで試してみてください。
例①:文章のトーン変換
目的:ビジネス文をカジュアルな口調に変換する
ChatGPTでプロンプトを入力
以下の文章をカジュアルな口調に変換してください。
例:本日はお越しいただきありがとうございました。→今日は来てくれてありがとう!
対象:ご連絡ありがとうございます。ご提案内容を確認のうえ、後日ご連絡いたします。 →
上記のプロンプトをChatGPTで入力すると、「連絡ありがとう!提案の内容をチェックして、また後で連絡するね!」のような結果を得られます。
例②:商品の特徴をキャッチコピーに変換
目的:製品説明文を短いキャッチコピーに変える
ChatGPTでプロンプトを入力
以下の説明文を、インパクトのある短いキャッチコピーに変えてください。
例:疲れた夜にぴったりの癒しグッズです→“今日の疲れ、5分でリセット”
対象:持ち運びにも便利な、USB充電式のミニマッサージャーです。→
上記のプロンプトをChatGPTで入力すると、「“疲れたら、ポケットから癒し!”」のような結果を得られます。
例③:文章から感情を分類するプロンプト
目的:文の感情を判定(ポジティブ/ネガティブ)
ChatGPTでプロンプトを入力
「以下の文章がポジティブかネガティブかを分類してください。
例:この商品、ほんとうに買ってよかったです!→ ポジティブ
対象:思ったより使いにくくて、ちょっとがっかりしました。→
上記のプロンプトをChatGPTで入力すると、「ネガティブ」と結果を得られます。
すぐに使える!One-Shotプロンプトのテンプレート

毎回プロンプトをゼロから考えるのは大変ですよね。
そんなときに便利なのが、汎用性の高いテンプレートです。ここでは、さまざまな用途に応用できるOne-Shotプロンプトの型(テンプレート)をご紹介します。
汎用テンプレ①:指示 + 例 + 本文
トーン変更、要約など、パターンが明確なタスク全般に適用なOne-Shotプロンプトのテンプレートです。
目的:〇〇してください。
例 :〇〇 → △△
対象:〇〇 →
敬語をカジュアルにしてください。
例:お時間いただきありがとうございます → 時間とってくれてありがとう
対象:ご連絡ありがとうございます。 →
汎用テンプレ②:フォーマット指定型
データ構造が必要な場面、整ったアウトプットが求められるレポートや分析タスクに効果的なOne-Shotプロンプトのテンプレートです。
目的:次の内容を〇〇のフォーマットで出力してください。
例 :〇〇 → 【タイトル】△△
対象:〇〇 →
目的:次のレビューを、【感情】/ 【理由】フォーマットで出力してください。
例:この商品、ほんとうに助かりました →【感情】ポジティブ/【理由】便利だったから
対象:思ったより使いにくくて、ちょっとがっかりしました。 →
まとめ

本記事では、One-Shotプロンプティングの仕組みから活用法、そしてすぐに試せる具体例を紹介しました。を理解されたはずです。最後にもう一度、要点を整理しながら、次のステップへのヒントをお届けします。
One-Shotプロンプティングは、AIとコミュニケーションを取るための「基本中の基本」とも言えるスキルです。複雑な知識がなくても、一例を示すだけでAIが動いてくれるというのは、学び始めたばかりの人にも扱いやすい大きなメリットです。
このOne-Shotをベースに、さらに高度なFew-ShotやChain-of-Thoughtなど、より複雑な手法にも発展していきましょう。